指導のねらい
1)シュートの基本を再確認する
2)状況判断力を高める
3)ドライブインを磨く

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1.今回のテーマを説明  今回は、状況判断力アップをテーマにシュート練習を行いました。

 シュートの技術自体を磨いていっても、その技術を発揮する前の段階が悪ければいいシュートは打てません。シュートの技術を磨くのと同時に、シュートを打つ前の判断、準備についてレベルアップしていきましょう!

2.ウォーミングアップ
 ・お姫様鬼ごっこ
 ・ドラゴンボール
 後半のドリルを判断する上で、最初にゲームを見せてもらおうと思いました。そのため、早めに足を準備するウォーミングアップを行いました。

 
お姫様鬼ごっこは、4人一組になり、お姫様と魔物を一人ずつ決めて、残りの二人がお城になる鬼ごっこです。
 お城とお姫様は手をつないで三角形を作り、魔物はお姫様にタッチしようとしますから、魔物から姫を守るように3人で動きます。動き方がディフェンススラ イドの動きになるので、フットワークにもなりますし、魔物側はフェイントなども上手になるアップです。
 とても盛り上がって、テンションが上がるので、大会などで過緊張な状態のときにウォーミングアップとして取り入れると効果が高いアップです。


 
ドラゴンボールはウォーミングアップをしながらの状況判断トレーニングです。先に自分の陣地にボールを3つ集めたチームの勝ちです。

 この練習では2つ集めたチームのボールを優先的に狙っていかないといけません。敵チームの状況を見て良い判断をしないと負けてしまいます。バスケットでは
「見る」という事がとても大切なので、自分たちの状況だけではなく、他の人の状況も見れるようにしましょう。

3.ゲーム  皆さんのゲームでのプレーをチェックさせてもらいました。シュートを打つ場面で、外れる原因になりそうないくつかの要因を明らかにし、改善の優先順位を決めたいと思いました。

 試合の中で皆さんのプレースタイル、攻撃パターンをいくつか確認できたので、これからのメニュー組の中で色々と検討材料が増えました。

 台形近辺のシュート力がかなり高いので、この能力を活かして、これから状況判断メニューに取り組んでいきたいと思います。

4.スパイラルチェックシューティング  シュートは基本練習と実戦練習の両方を行うことでレベルが上がっていきます。

 止まった状態の基本練習ばかりをやっていても、試合で入るようにはなりません。動きをいれた実戦的な練習ばかりをやっていると、徐々にバランスが崩れたりフォームが崩れたりして、結局、より高い確率のシュートになりません。

シュート練習は
基本と実戦のスパイラル(螺旋上達)を目指します。

 基本が安定している時は実戦練習を多くし、基本が不安定になったら基本練習を多くしていくようにします。

 基本が安定しているかどうかを確認するのに良い練習は、連続ジャンプシューティングです。パスキャッチからの連続ジャンプシューティングで、近い距離から、シュートが入ったらだんだん下がるというシュート練習を行います。

 この練習で、
シュートが左右に曲がらないこと、距離を変えても連続で決めることができることが達成できれば基本は安定しているといえます。その場合は、実戦編のシュート練習を行いましょう。

このシューティングでボールが左右に曲がったら、曲がる原因を分析して修正する練習に取り組みましょう。

まっすぐは飛ぶものの、距離を合わせるのがうまくいかない場合は、距離感をつかむの基本練習を重点的にやりましょう。

5.基本の再確認
 ・キャッチの重要性
 ・フォロースルーの重要性
 ボールが曲がってしまったという選手が多かったので、基本の確認練習を行いました。

テーマは、
「良いキャッチ」「フォロースルーの安定」です。

 左右に曲がることが、シュートの外れる最も大きな原因になるので、徹底してシュートフォームを矯正しなければなりません。

 
曲がる原因のない持ち方(キャッチ)から、ボールの中心を押し出すフォロースルーが実行できれば、ボールは左右に曲がりません

 ゆっくり肘の動きを確認したら、シューティングライン上をまっすぐ動かすことができましたね。ゆっくりやって出来ることを、素早くやれるようにするだけです。

 まだ肘が開いてしまう選手は、このゆっくりの動作確認練習を繰り返しやりましょう!とても大事な練習です。

 第一回のレポートのポイントを押さえながら、ボールが曲がる原因のないシュートフォームをこだわって習慣にしていきましょう!

 フォロースルーに関しては、
3秒ストップ練習を 行いました。3秒ストップするくらい、打ち終わりで「止まる」意識があると、落ち終わりが安定します。安定すれば、シュートに再現性が高まるのです。自分 のシュートフォームのチェックもしやすいので、とても大事な練習です。完了動作が雑な選手は人よりも高いレベルのシューターになれません。注意していきま しょう!

6.ビルブラッドレードリル  ビルブラッドレーという選手は、13本中10本決めるまで同じ場所で打ち続けるという練習方法を取り入れていました。同じ場所で打ち続ける練習は、シュートフォームのチェックにとても良い練習です。

10本以上入った選手はコーチに報告というルールで行いましたが、このシューティングでコンスタントに10本以上を記録できると、基本のシュート能力が十分に身についたといえます。

 この練習では、
再現性と修正力がテーマです。入ったシュートを繰り返せることが非常に重要です。そして、再現性が高い選手は修正が楽になります続けて2本落とさないというプライドを持って練習しましょう!

7.ビルブラッドレードリルDF付き  今度は3〜4人組になって、同じドリルにダミーディフェンスをつけました。

 ディフェンスがいるだけで、姿勢が後傾してしまったり、あせってリズムが変わってしまう選手がいます

 ディフェンスがいても、繰り返し同じリズムでシュートを決めること、ディフェンスがいても、前のシュートから修正して連続で外さないこと、これがポイントです。

 この練習で再現性高く、修正力を発揮して練習できれば、試合でも修正力を発揮できると思います。

8.実戦連続記録シューティング  次に、シュートが何本連続で入るかのシューティング練習を行いました。7の練習と同じやり方で、ディフェンスは真剣にブロックにいきます。

 オフェンスは、打てないと判断したらワンドリブルでかわしてシュートを打って良いというルールです。出来るだけ連続でシュートを決め続ける練習です。

 ムキになってブロックに来るディフェンス相手に繰り返しシュートを決め続けなければならないので、かなり実戦的ですし、状況判断も入ってくるので、シュート力アップにお勧めのトレーニングです。

9.いなしドリル  次に、富士通の中川さんが講習会で紹介してくれた「いなし」という練習を中学生向けにアレンジしたドリルを行いました。

 最初は3on2で練習しました。オフェンスは30秒間ずっと攻め続け、ディフェンスは30秒間守り続けます。
オフェンスはシュートを決めたら1点で、何点取れるかの練習です。

ルールは以下の通りです。
@ シュートは台形の中だけ
A シュートを打ったら必ず決めること、外れた本数分プッシュアップ
B アウトサイドでオフェンスが3秒間トリプルスレットに構えたら3ポイント。ディフェンスは、3秒たつ前にそのオフェンスにタッチしなければならない

 アウトサイドで構えれば、どちらかのディフェンスは飛び出してきます。その瞬間に
残り二人のオフェンスはチャンスの場所に動きます

 ボールマンは
奥のディフェンスを見て、チャンスになるほうへパスを出すという練習です。

 パスを出す人もディフェンスの状態を見て、チャンスのほうを選ぶという状況判断が求められますし、ボールを持っていない選手も、どちらかは必ずチャンス になるように、お互い近づきすぎないことを気をつけながら動かなければならない状況判断練習です。

 
皆さんの台形近辺のシュート力は非常に高いの で、台形近辺でのノーマークを作るための非常に大事な練習です。ボールを持っていない時にチャンスのスペースに動く習慣が必要です。いつもアウトサイドで ぼーっと待っているだけだと、ドライブがつぶされてしまったら全部が遠い距離からのシュートになってしまいます。そうなると、リバウンドで不利な我々とし ては勝利が遠ざかってしまいます。ロングシュートは武器にしながらも、メインは台形エリア内でのシュートになるように、チャンスの動きを身につけていきま しょう!

10.ドライブドリル
 ・パワーレイアップ
 ・ストップ&ターン
 ・ロールジャンプ
 ディフェンスのプレッシャーに負けないドライブインの練習です。バランスとボールの位置に気をつけましょう。ボールをディフェンスから遠いところでキープし、ステップを踏めるように練習しましょう!

 ディフェンスがドライブのコースに入ってくるまでは、
力強くゴールに向かうべきです。肩がディフェンスの腰を抜いていれば、オフェンスの方が勝ちの状態です。 その状態から、わざわざゴールより遠くへ向かってしまうと、ファールはもらえない、シュートは難しいという体勢になってしまいます。ディフェンスとの接触 に慣れていない選手ほど、このような難しい体勢になりやすいので、ぶつかり合いの中でバランスを取るこの「パワーレイアップ」をたくさん練習しておきま しょう。

 レイアップが止められてストップしてしまったら、ステップを踏んでシュートにいきましょう。ディフェンスから離れるように、
縦足を作ります。ディフェンスにお腹で正対してしまうと、次のプレーが難しくなります。縦足でディフェンスがついてこなければそのままフェイドアウェイシュートです。

 早めに首を振って、
ステップの最中にディフェンスの状況を判断しておくことが重要です。縦足になってから判断では遅いのです。ステップ中に打つか、フェイクにするかを決められるようになりましょう!

 縦足の時にディフェンスが反応してきたら、もう一度ステップインをしてゴールに向かいます。このステップインは、ディフェンスの位置に応じて、オンサイ ドへまっすぐステップインするか、クロスオーバーでステップインするか、ロールターンでステップインするかを選べるようになりましょう!


 ドリブル中にディフェンスがコースに入ってきたら、ロールして一気に抜いてしまいましょう。ロールジャンプというテクニックを紹介しましたが、このテク ニックを使って一気にディフェンスを置き去りにできれば最高です。ロールジャンプのテクニックはトラベリングを吹かれやすいので注意が必要です。
 ロールまではドリブルの動作で、軸足が地面から離れてジャンプしたあとにボールを保持するようにすれば、トラベリングになりません。

 このとき、初めからロールするつもりのドライブをしてはいけません。あくまでも、
まずは力強くレイアップを狙っていくことで す。レイアップに向かうコースがディフェンスとの接触をよけるようなコースだと、その逆のロールターンもゴールへ向かえないのです。結局チャンスが作れな いドライブインになってしまいます。まずはゴールに向かって多少ぶつかり合いながらもつきすすみ、それでもディフェンスが止めに来たらロールジャンプで す。

 ロールした後にも次のディフェンスがいますから、
ドライブ中にもコートの状況を把握しておき、ヘルプがいるかどうかは判断しておきましょう!

11.ボールの展開から1on1 5人組の1on1ドリルです。
<最初のポジション>
@ ウイングのオフェンス
A 逆サイドのディフェンス
B 逆サイドのウイングオフェンス
C トップのオフェンス
D 最初のウイングのディフェンス

<ドリルの手順>
1.Cのガードから@のウイングへパス。ウイングはVカットなどパスを受けるための工夫する。

2.@のウイングはドライブイン。Dがディフェンス。先ほど練習したジャブステップをボールミートから流れの中で使ったり、抜いた後に遠回りせず、接触を嫌がらず、パワーレイアップにいけることを目指してもらいました。

3.@のシュート後、Dディフェンスはリバウンド。それに合わせて、Cのパッサーだったガードはアウトレットパスのレシーブ準備。

4.Cがアウトレットパスをレシーブしたあと、逆サイドにいたBがトップでボールを中継。

5.
展開されてくるボールに合わせて、@のオフェンスは逆サイドでパスを受ける準備をする。最初に逆サイドで待っていたAのディフェンスが今度はボールマンディフェンス。

6.Bから@へパスが入ったらAがディフェンスで1on1。

7.終了したら、@だった選手はAへならび、AはBへ並び、Dは@になるといった具合でローテーション。

 この練習は色々な1on1能力を磨く事が出来る実戦的な練習方法です。大事なことは
次のプレーを予測して準備できるかどうかタイミングよく動きだせるかどうかです。
 オフェンス役だけでなく、パス役、ボールを持っていない選手も判断の練習になるドリルです。

 ボールを持っていない時の準備を大事にして、チャンスでドライブインが仕掛けられる選手になってくださいね!

12.3on3LIVE  最後に、ライブの3on3を行いました。パスの展開の中で、台形近辺でのノーマークを増やすこと、ドライブをしかけること、そこからヘルプをひきつけてまた別なノーマークを作ることがテーマです。

 今回の練習では、台形近辺でノーマークが出来るチャンスが多くありましたし、シュートの確率もかなり高かったです!皆さんのシュート力に保護者の方々から歓声が沸いていましたね!!すばらしいプレーでした。

今回の練習のように、台形近辺でノーマークを増やすことができれば、かなりの確率で得点することができます。皆さんのシュート力はかなり上がってきていますから、自信を持ってシュートを打って下さい!

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 練習中に、状況判断力を高めていく上で、僕がとても好きな言葉を紹介しました。

「良い判断は経験から得られる。経験は愚かな判断から生まれる。」

良い判断をするには、経験が必要です。しかし、その経験は愚かな判断、すなわち判断ミスから生まれるものなのです。
判断のないプレーからは愚かな判断すら生まれません。まずは、
見て、判断して、プレーすること。判断した結果の失敗であれば、それが経験となり、次の良い判断へつながります。判断なく、決め打ちしたり自分の都合でプレーを続けていたら、良い判断ができる選手にはなれません。
良い判断ができる選手目指して、「見て、判断する」トレーニングをつんでいきましょう!

 1試合32分間で、オフェンスとディフェンスが均等だったとすると、16分間オフェンスの時間があります。このうち、5人の選手が均等にボールを持って いたとすると、ボールを持ってプレーする時間は約3分間です。残りの約13分間はボールを持っていない時間になります。
いままで練習してきたシュートの技術は、
ボールを持っている3分間にだけチームに貢献できる技術です。

今回練習した、ボールを持っていない時の工夫は、
試合中13分間もチームに貢献できる工夫なのです。

ボールを持っていない時の工夫が良い選手は、良い形でパスを受けることができるので、シュートの確率もあがります。ディフェンスの状況を見て、判断するというトレーニングを続けていきましょう!

 そして、シュート以外の身体能力や運動能力も磨いていかなければなりません。皆さんはとても素晴らしい先生にご指導いただいています。そのことを誇りに 思って、日々の練習の中ですべてのメニューに全力で取り組み、力を合わせてなりうる最高のチームを目指し、がんばりましょう!また次回も楽しみにしていま す!!