1.バスケットボールで勝利を目指すためには |
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最初に、今回ゾーンプレスを紹介する上で何のためにゾーンプレスをするのかを皆さんに理解してもらいました。
ゾーンプレスは手段です。手段は目的に対して使われるので、選手の皆さんが目的を理解していないとあまり高い効果は見込めません。
まずは、バスケットボールで勝利するために何が必要なのかを理解しましょう。
バスケットボールは確率とシュート本数で決着がつくスポーツです。
シュートの本数に関しては、
・自分たちのシュート本数を増やす努力 = オフェンスリバウンド、スティール
・自分たちのシュート本数を減らさない努力 = ターンオーバーを減らす
・相手のシュート本数を増やさせない =ディフェンスリバウンド
・相手のシュート本数を減らす = 激しいディフェンスでターンオーバーを誘う
という4つの努力ができます。
シュートの確率に関しては
・自分たちのシュート確率を高める努力 = シューティングや1on1テクニックなどなど、戦術やインサイドへボールを進める方法など
・相手のシュート確率を下げる努力 = 速攻を許さない、ペイントエリア内の得点をさせない、高確率な選手にプレーさせないなどなど
以上のような努力ができます。
バスケットボールのすべての練習はこの6つの努力に集約されます。このどれかの努力に該当しない練習は、練習のための練習です。今回紹介するゾーンプレス
も、「相手のシュート本数を減らす」という目的に向かって使います。相手のミスを誘うようなディンフェンスを目指すのです。その時に、相手の確率の良い
シュートが増えてしまってはいけません。ここが理解できていれば、目的に向かって良いディフェンスが実行できます。 |
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2.コーディネーションチェック
・カップリングスキップ |
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ウォーミングアップを兼ねて、皆さんの運動能力や身体の気づき力を確かめるドリルを行いました。上半身と下半身を別々のリズムで動かすトレーニングです。
こういった運動がうまく出来るようになると、技術の身に付き方が効率よくなります。出来なかった選手はぜひ繰り返し練習しておいてくださいね!
@拍手が2のリズム・スキップが1のリズム
A拍手が1のリズム・スキップが2のリズム
B拍手が「前・頭・お尻」のリズム・スキップが1のリズム
C拍手が「前・頭・お尻」のリズム・スキップが2のリズム
D拍手が2のリズム・スキップが3のリズム
E拍手が3のリズム・スキップが2のリズム |
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3.1−2−1−1ゾーンプレス |
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まず最初に全体像の確認をしました。今回紹介したのは1−2−1−1のフルコートプレスです。
注意したポイントを以下のように整理しておきますので、参考にしてください。
1)最初のパスに対して
出来るだけサイドラインに近い場所でパスを受けさせること。この時に、ディナイしすぎてコート中央にパスを入れられたりしないこと。
2)最初のパスがサイドライン際に入ったらパストラップをねらいます。
相手がパッサーにリターンパスを狙って来る場合は、逆サイドのディフェンスがコート中央にすぐに寄ってきてインターセプトをねらいましょう。
ディフェンスはパス出しの人の視野や身体の向きからパスが出る方を予測し、素早くトラップにいき、逆サイドはボールに寄っていきましょう。
3)トラップに行った時には、3線目(ダイヤモンドの下側)の人が縦のパスを止めに入ります。ローインターセプターと言います。逆サイドのディフェンスが
ハイインターセプターです。一番ゴールに近いディフェンスが、フライヤーと言ってロングパスをケアします。
4)もしトラップを回避されてしまったら、すみやかにゴールに向かって戻ります。戻りながら、相手がサイドラン際に残っている場合は引き続きトラップをし
かけましょう。相手は、追い打ちに弱いのです。一度難を逃れて油断している時こそトラップの効果が上がります。
5)相手がダイヤモンドの中心に人を飛びこませようとしてきた場合について
高い位置からの飛び込みに関しては、ハイインターセプターがボディチェックで守りましょう。低い位置からの跳びこみに関しては、フライヤーとハイイン
ターセプターで連携して、より近い方がコースチェックをします。この時に、フライヤーはゴールにノーマークが出来てしまうのはまずいので、常に一番ゴール
に近いオフェンスを注意しておくようにしましょう。その選手をフリーにしてまで飛び出さないように注意しなければなりません。
6)相手のパスがダイヤモンド中心に通ってしまったとしても、1線目の選手が素早く下がり、ダイヤモンドを再形成します。 |
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4.パストラップ |
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ゾーンプレスの分解練習としてパストラップの練習を行いました。
・パスに対して素早く反応すること
・リターンパスのコースを塞ぎながらトラップに行くこと
・トラップは二人が間を空けないように注意すること
・逆サイドの選手はすばやくボール側に寄って行くこと
これらを意識して練習を続けて下さい。 |
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5.ジャンプトラップ
・フェイクトラップ |
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パストラップに続き、ジャンプトラップも練習しました。相手がドリブルでコートサイドへ向かっていくような場面で使います。
ジャンプトラップは、
ドリブラーではないプレーヤーのマークマンが突然ドリブラーにクローズアウトし、ドリブラーのマークマンと2人でトラップディフェンスをしかけます。この
時に、トラップに行くディフェンスはボールを簡単に自分のマークマンのほうへとばされないよう、ハンズアップして、ドリブラーのドリブルをしているほうの
手を狙ってトラップにいきます。
トラップに行く人がトラップに行くふりをして、ドリブラーがスピードを抑えたり、ボールを持ってしまうようにしむけることもできます。これをフェイクトラップと言い、これも練習しました。ぜひチャンスがあったら使い分けてみて下さい。
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6.シュートが入るようになるためには |
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<シュートの技術のポイント>
@ボールはリングに向かってまっすぐ飛んでいる
Aボールはリングのあるその距離にちょうど飛んでいる
この2つができればシュートは絶対に落ちません。
しかし、人間はロボットではないので常に同じところに同じようには打てません。
シュートの確率が良い選手と悪い選手の差は、シュートがぶれやすいかどうかです。シュートフォームにボールがぶれる原因が多いとなかなかシュートの確率は上がりません。
リングの直径が45cmです。
みなさんが使っているボール(6号ボール)の直径は23〜24cmですから、左右前後に10cm以上ぶれないシュートを身につければ、シュートの確率はとても高くなります。
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7.ボールの持ち方 |
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<ワンハンド>
・ボールを下から持って、左右に振ってもボールが安定しているように持ちます。
・ボールの真下に腕が来るように、肘を90度に曲げます。このとき、腕の位置は利き足の真上にくるようにしましょう。
・どの指が最後にボールを離すかはそれぞれの関節の可動域によって決まります。人差し指・中指・もしくは2つの指の真ん中、どれかのパターンになるはずですから、自分のどの指がボールの中心を押し出すか、確認しましょう。
・サポートハンドは「ガイドライン」になるように、小指をリングの端に合わせましょう。
<ツーハンド>
・ツーハンドは、両手の人差し指が最後に同時にボールを離します。なので、両手の人差し指の延長上がボールの中心になるようにボールを持ちます。左右から安定してボールを持てるように、両手の親指と人差し指で三角形を作りましょう。 |
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8.まっすぐ打つ |
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<ワンハンドの場合>
・ボールの中心を指している指がゴールの中心を指すようにまっすぐスナップします。
・腕が曲がっているとボールが曲がりやすくなります。「アンダー・ザ・ボール」を意識しましょう。
・手首と肘に見えないチョークをつけて、見えない黒板に1本の線を引くイメージで肘を動かします。
・肩のラインが曲がっていたり、回転してしまうと、ボールは曲がりやすくなります。
・利き足はリングを指します。この利き足とゴールを結んだ線をシューティングラインと言います。ゴールライン上をボールが飛んでいくイメージです。
<ツーハンドの場合>
・回内の動きを使って人差し指をリングの上に向けて伸ばします。
・鼻とへそとリングを結んだラインがシューティングラインです。そのラインにボールの中心をまっすぐ押しだします。
・手の甲と甲がシューティングラインを挟んで向き合うようにフォロースルーしましょう。
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9.その距離に打つ |
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・フォロースルー(打った後の形)はボールが地面に落ちてくるまで止めましょう。
・肘は伸ばしきりましょう。肘の伸ばしがいつも違うといつも距離のコントロールが変わってきてしまいます。
・肩が前後に移動しないようにしましょう。まっすぐしゃがんでまっすぐとぶ、「ストレートダウン・ストレートアップ」が重要です。
・自分とリングのちょうど中間でボールが最高点になるようにイメージしましょう。 |
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10.距離感を微調整する方法
・対面パス
・友達の肩を引っかけたり抜いたり |
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「抜く」と「引っかける」の練習を行いました。
シュートの距離は、角度が同じであれば「スピード」で決まります。同じシュートフォームでも、最後にどれだけスピードを伝えるかで距離が変えられるのです。
距離を変えるのにフォームが変わってしまう選手は、良いシューターになれません。同じフォームで、指先のタッチで微妙な距離感を調整できるようになりましょう!
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11.高く打つ |
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・リングは上を向いているので、アーチの高いシュートの方が入る面積が広くなります。
・アーチが高いと前後の方向にぶれが少なくなり、入る確率が高くなります。
・バックボードの上のラインから落ちてくるシュートを打ちましょう。横のラインから入ってくるようなアーチはあまり良くありません。 |
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12.コーディネーションレイアップ10 |
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少し目線を変えて、皆さんの運動能力アップのために、コーディネーションレイアップという練習を紹介しました。より高いレベルの選手を目指して、このレイアップもレベル7までクリアできるようにしましょう!
1.ボールを回して
2.自分が回って
3.ボールを回して自分も回って
4.ビハインドパスから
5.ワンステップボール回し
6.ボールを回して股の下を通して
7.ボールを回して自分も回って股の下を通して |
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13.スクリメージ |
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最後に、ゾーンプレスをチェックするためのスクリメージを行いました。ゾーンプレスは
・トラップを激しく素早く行えるように訓練すること
・ハイインターセプターとローインターセプターのポジショニングを素早く行うこと
・フライヤーのインターセプトの読みを高めること
などを磨いていくことが成功のカギです。
もし、簡単にトラップに引っかからない相手の場合は、そのままダイヤモンドをハーフラインまで下げて、3線目を2人にして3−2のハーフコートプレスも練習しました。
1線目、2線目の動きは同じで、ほぼ約束事を変えず応用できるので、チェンジングディフェンスの選択肢として使えるようにしておくと良いと思います。 |