指導のねらい
1)シュートの基本再確認
2)シュートの実戦能力アップ

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1.実戦能力に必要な基本能力ドリル
 ・バランスドリル
 ・ハンドリングジャンプ
 ・スタビライゼーション
前回、シュートの基本能力について紹介したので、今回はシュートの実戦能力を中心にクリニックを行うことにしました。

実戦能力を高めていく上でとても重要なのが
「バランス」です。安定した身体に自由に動く手足です。土台が不安定では、手足を安定してコントロールすることはできません。

バランスを高めるトレーニングをいくつか紹介しました。
・片足立ちで目をつむり、上げている足で1〜20まで数字を書く
・片足立ちで目をつむってボールハンドリング

また、ジャンプ1回につきボディサークル1回というハンドリング練習も紹介しました。これが実戦的なジャンプシュートのための前提条件ドリルです。ボディ サークル1回ができるくらいジャンプできなければ、実戦的な動きの中で空中でボールをコントロールできません。

この練習にさらにバランス能力の要素を加えたものが、回転ジャンプとハンドリングです。回転する分遠心力でボールコントロールが難しくなりますからハンドリング力も求められますし、バランス能力も高まるトレーニングです。
できるようになれば、実戦でのジャンプシュート能力にプラスになります。

バランス能力を高めたくても、バランスを保つための筋肉の使い方をしらなければ、なかなかレベルアップできません。
スタビライゼーショントレーニングという、体幹筋のトレーニングを紹介しました。

<メニュー>
1セット目
1)腕立て伏せの姿勢で、肩からかかとまで一直線
2)組体操のおうぎのような姿勢で、床から垂直にまっすぐをキープ、足から肩までのラインも一直線になるように
3)2の逆
4)あおむけの状態で膝と足首を90度に曲げ、肩から膝が一直線になるようにキープ、片足をその肩から膝のラインに向けてまっすぐ挙げる

2セット目
1)指立て伏せの姿勢で、肩からかかとまで一直線
2)組体操のおうぎのような姿勢で、下の足を前に出し、膝を90度に曲げて膝から足首までが地面と平行になるようにキープ
3)2の逆
4)1セット目と同じで、逆の足を上げる
各15秒ずつ

このトレーニングはだいたい3分程度で出来ますし、器具を使った筋力トレーニングのように身体を痛めるような大きい負荷はかからないのでお勧めです。筋肉の使い方を知るためのトレーニングですから、ぜひ繰り返し取り組んでみて下さい。

2.ハンズレディと基本姿勢 実戦のレベルアップをしていく上で、非常に重要なのが「キャッチ」と「姿勢」で す。ここでつまづくと、なかなか上達ができない苦しさを味わうことになります。色々と工夫するのですが、結局のところキャッチが悪いがために始まりが安定 しないため、同じような工夫でも結果が変わってしまうからです。もちろん、姿勢も不安定であれば、先ほどの距離感を修正しようと思ったら土台自体が変わっ てしまうので修正が正しかったかどうかがつかめません。

キャッチと姿勢を大事にすることはシュートの実戦能力アップに必要不可欠です。

パスキャッチの時に手のひらをボールに向けてシュートの形に構えておくことを
「ハンズレディ」といいます。

姿勢は、肩・膝・つま先が床から垂直に一直線くらいがちょうど良いと言われています。バスケットボールは基本的にゴール方向へ進むことが必要なスポーツで すから、重心がやや前側にあり、広い視野が保てて、素早く走れる、素早く跳べる姿勢が理想です。
こういった姿勢を
基本姿勢と呼んでおり、この姿勢ですぐにシュート、すぐにパス、すぐにドリブルができるボールのもち方をすると「トリプルスレット(3つの脅威)」という姿勢になります。

シュートが打てないような場面では、
ジャブステップポジションに構えたり、縦足でボールを守る姿勢になったりもしますが、シュートが打てる場面ではこの「トリプルスレットポジション」に構えることを意識して練習しましょう!

3.連続ジャンプシューティング 基本と実戦のつなぎ目の練習です。
連続ジャンプしている状態でパスを出してもらってキャッチからシュートを打つ練習です。シュートが入ったら一歩下がり、はずれたらその場で修正するという練習方法です。

この練習で、ほとんどボールが曲がることなく、ミスなく後ろに下がっていける選手は基本の能力は十分に高いということになります。

もしボールが曲がってしまったら、
1.ボールを高く構えた状態で連続ジャンプ

2.ボールをトリプルスレットに構えた状態で連続ジャンプ

と段階を追って練習すると、自分のシュートフォームのどこがうまくいっていないのかが分ります。

1でシュートが入らない場合は、手首や指先のタッチの問題に限定されます。ただ、この打ち方は距離が近い場合にのみフォームのチェックができます。

2でシュートがぶれる場合は、ボールを持ち上げる動作に問題があるのかもしれません。
ボールを持っている位置、持ち方、ボールの持ち上げ方がボールをまっすぐ飛ばすために効率的かを確認しましょう。

1も2もうまくいくのに最初の練習方法でやるとシュートがぶれる場合は、キャッチの仕方が問題なのかもしれません。ボールを持つときにはすぐにシュート モーションに入れるように、シュートの時の持ち方でパスをキャッチするようにしましょう。

4.フラッシュシューティング シュートを打つタイミングを3つ紹介しました。
「いつでも打てる」という能力のテクニックです。

1のタイミング・・・キャッチの着地ですぐにジャンプ
2のタイミング・・・ストライドストップでタイミングをはかってジャンプ
3のタイミング・・・シュートは打たないように見せかけて、ディフェンスが一呼吸置いた瞬間にシュート

この3種類のシュートを練習しました。この3つのタイミングを使いこなせるようになればシュートのチャンスをかなり作ることができます。ディフェンスの状況に応じてプレーを変えられるため、非常に守りづらい選手になれます。

フラッシュシューティングは
2分間で40本を目標に練習してもらいました。
最初は20本程度でしたが、ポイントを抑えていくと30本を超えて、もうすぐ40本というところまで確率が上がってきましたね。

キャッチしたときの姿勢(ツーハンドは両肩と腰のラインで作る四角形の面がまっすぐゴールを向くように)を特に注意して、練習していきましょう!

5.実戦フラッシュシューティング 4の練習のディフェンス付き練習です。

レベル1からレベル3まで練習しました。

レベル1はディフェンスがエンドラインをふんでからシュートチェックに来るので、シュート動作に余裕があります。
安定したバランスでリズムをとって確実にシュートを決めます。

レベル2になると、ディフェンスがエンドラインよりも少し高い位置で折り返してくるので、安定したシュートをよりすばやく行う必要があります。すばやく行ってもバランスが崩れず、シュートの確率が落ちないようにしましょう。

レベル3になると、ディフェンスが来る前にシュートを打つのはかなり難しくなります。打てないくらい相手が近かったら、オフドリブリングショットに入ります。
キャッチ&ショットだけで、クイックモーションでシュートを決めることができたら優秀です。

クイックモーションを追求し、状況に応じてドリブルを使い分けられるようになりましょう。
クイックモーションで打てるというだけではなく、「シュートが入る」ということがポイントです。

6.ガンマンシューティング スペインのプロコーチが個人指導で行っていたドリルですが、そのコーチいわく、シュートモーションは西部劇のガンマンの動きだと言っていました。すばやくて、それでいて正確に相手を射抜くことだそうです。

速いだけでも、正確なだけでも相手に勝てません。
速くて正確なことがガンマンドリルのポイントです。

レッグスルーから素早くシュートを打ってもらいましたが、ドリブル後どんなところにボールがあってもすばやく構えられるようになりましょう。そして、ゴー ルに向かってボールがまっすぐ発射されるようにリフティングとフォロースルーを意識しましょう。

7.オフドリブルシューティング ドリブル後のジャンプシュートを練習しました。ドリブルからシュートを打つまでに時間がかかると実戦的ではありません。すばやさを出すために、まずはクロスオーバーのドリブルジャンプショットを練習してもらいました。

クロスオーバーの場合は、抜き足が地面に着く直前にドリブルを突きだすことで、より素早く跳ぶ動作に入ることができます。
「ダダダン」のリズムで素早くシュートモーションに入れるようにしましょう。

8.クロスオーバードライブからのシューティング フロントチェンジからシュートへのステップの使い分け練習を行いました。

 良いシュートを身につけて、それを実践するには、ディフェンスに対して
“打つタイミングの判断”をしていかなければなりません。そして、いくつかの状況に対応できるだけの、“場面に合わせた技術”を身につけておかなければなりません。

 この練習は、フロントチェンジ後にすぐ打つか、もうワンドリブルを足すか、ステップバックするかを選ぶための練習です。

 技術はそれぞれ別々に使うのではなく、途中までは同じ動きになっていることが重要です。ストップジャンプシュートを打つ場合とステップバックする場合で、クロスオーバーするときの
ステップやバランスが変わらないこと、それと同じ状態からもうワンドリブル追加することもできること、こういったことを意識して技術練習を続けましょう。

9.99ersシューティング どんな場所でも打てるというテーマのための練習です。今回はひとつドリルを紹介して終了しました。また次回、続きにチャレンジしましょう!
99ersシューティング
ゴール下1点、ローポスト2点、フリースロー3点、エルボー4点、3ポイント5点のシューティングです。30秒間に全種類決めるのが目標で、全種類決める ことができたらボーナス15点がプラスされます。コンスタントに30得点オーバーできるようになりましょう。また、最高得点を40点台に乗せられるように がんばりましょう。

オールコート1分シューティング
99ersシューティングを改良して、スピードの中でのシュート力、体力を使った状態でのシュート力を高める練習です。1点から5点の場所を順番に決めて いき、1分で1点から5点の場所すべてで決めることができればクリアです。片方でシュートを打ったら、入っても入らなくても必ず逆のゴールまで移動しなけ ればなりません。超一流の選手であれば、1分で1〜5点の場所を2周りできると思います。今回は代表者しかチャレンジできませんでしたが、ぜひ、皆さんもチャレンジしてみて下さい!

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 今回は第2回目ということで、前回ご紹介したシュートの基本の続きで、シュートの実戦編を中心に練習し ました。すごく大事な基本の練習から、かなり難しいステップの使い分けまで、色々な練習を行いましたが、バスケットボールはすべての技術を持っていないと すべての状況に対応することが出来ません。狭いコートの中で10人がひしめきあっているスポーツなので、その状況に合わせて、的確に判断し、適切な技術を 選ばなければならないのです。

 技術は選択肢です。状況に合わせて使い分けられなければなりません。シュートも選択肢の一つです。いま、打つべきか、抜くべきか、パスするべきか、相手を
「見て・判断して・プレー」することができれば、良い選手になることができます。

 試合でのパフォーマンスのために、
5つの能力を 高めなければならないという話をご紹介しました。今回、シュートという技術について話を進めましたが、技術を高めると同時に、身体能力も、運動能力も、状 況判断力も、メンタリティも高めていかなければなりません。普段の部活で、すべての練習において自分の能力を最大限に高められるように練習をしましょう。 常に最高の練習をして、「なりうる最高の自分」を目指し、これからも頑張ってくださいね。応援しています!
また次回も楽しみにしています!