指導のねらい
1)ボールマンディフェンス
2)オフボールマンディフェンス
3)チームディフェンス

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1.ディフェンスの考え方  今回はディフェンスをテーマに練習をしました。

 ディフェンスの目的は何か、それは
「相手のシュート本数を少なくすること=ミスを誘うこと」

「相手のシュート確率を低くすること=難しいシュートで終わらせること」

です。

この目的に向かって、必要なことは何かをこれから順に整理していきたいと思います。

2.ボールマンディフェンスのポイント  シュートを打つのはボールを持っている人です。ミスに関しても、ボールを持っていない人が起こすミスよりボールを持っている人が起こすミスのほうが多いです。まずは、ボールを持っている選手に対して効果的なディフェンスを行えるようになりましょう。

●スタンス
 右足と左足のつまさきを結んだラインが台形の中を指さないように気をつけましょう。
 台形の中を指すスタンスは「メリークリスマス」と言って、2点を相手にプレゼントするスタンスです。足を引かずにオフェンスのドライブインを止められるように練習しましょう。

●一歩目の反応
 進行方向の足から反応できているかどうかのチェックを行いました。反応した後は、次に備えて元のスタンスの広さになるように逆の足も動かしておかなけれ ばなりません。この動作を素早く行わないと、オフェンスの次の動きに対応できなので、軸足をするように動かすのではなく、キックスライドですばやく反応で きるようにしましょう。

●方向づけと手の使い方
 野球だと、3割バッターは一流選手です。10回のうち、7回失敗していても、一流なのです。それは、野球というスポーツが、ピッチャーがアクションでバッターがリアクションだからです。
アクションの方がリアクションよりも有利なのです。
 バスケでも、基本的にはオフェンスがアクションで、ディフェンスがリアクションになります。リアクションしているディフェンスは、10回中7回は抜かれてしまうかもしれません。
良いディフェンスになるには、ディフェンスからアクションを起こすことです。
 方向付けをして、相手に行かせる方向を予測可能にし、反応を早くしたり、ハンドワークを工夫して、ボールが左右に移動したり、勢いよくドライブインできないように守ることが必要です。

●クローズアウト
 オフェンスに近づきながらディフェンスをする場面の練習も行いました。ヘルプポジションにいるときに、自分のマークマンへパスが飛んで来た時などにこの技術が必要です。
 ボールが空中にある間にマークマンへ近づき、「シュートは打たせず、ゴールへ直線的に抜かせず」のディフェンスを行います。

ポイントは
@ハンズアップしながら近づきます。ハンズアップを肩よりやや後ろにする事で後傾姿勢になり、ドライブに反応しやすくなります。

A近づく時はハーキーステップでいつでも左右にスライドし始められるようにします。

Bスタンスはボールマンディフェンスで確認した角度と歩幅を意識しましょう。台形の中へスタンスを引かないように注意してください。

C方向付けをするときには、行かせたくない方のオフェンスの肩を自分の鼻が指しているようにしましょう。

Dまっすぐオフェンスに向かってくると、右にも左にもリアクションしなければならないので、行かせたくない方の側からやや斜めに近づいて来れるようにしましょう。

3.ドライブに反応できた場合のポイント ●ドライブ中のジャンプショットに対する準備
 相手を抜き去れなかった場合、オフェンスはストップジャンプショットを狙ってきます。その時に、相手が跳んでから手を挙げても遅いです。良い選手なら宙に浮いたらノーマークです。確率良くシュートを決めてきます。
 ドライブが始まったら、ディフェンスは
シュートコースに挙げる手を早めに準備しておきます。最初からシュートコースに手があげられていたら、シュートする方はバランスが悪くなり、シュートの確率が下がります。

●ドライブ中のターンに対するディフェンス
 上手いオフェンスは、こちらがドライブのコースを止めるとターンを使って逆を抜いてきます。ディフェンスはこのターンを先読みし、足を引かないでターンのコースに入りましょう。そしてお腹で相手のターンを受け止め、オフェンスファールをもらいましょう!!

4.抜かれそうになった場合のポイント  相手の肩が自分の腰に並んだら、もうオフェンスの方が勝ちです。こうなったときにスライドで対応しようとしても追いつきません。

 
抜かれそうだなと判断したら、走る準備をします。ドライブのコースに先回りするように一歩走ってスライドでドライブのコースに入ります。すばやくこの動きに移ることができるかどうかがポイントです。

 台形の中はマイハウスです。オフェンスは不審者、ボールは危険物です。危険物を持った不審者が我が家に侵入しないように、台形の入口前で止められるようにがんばりましょう!

5.相手のドリブルが止まった場合のポイント  相手のドリブルが止まったら、「スティック」というボールにプレッシャーをかける体勢に移りましょう。

 この時、自分と相手の間の空間が鏡(ミラー)だと思ってください。相手のドリブルが止まったら
薄い鏡を作ります。オフェンスとの距離が離れていると厚いガラスになってしまいますから、胸を貼り付けるようにくっつきましょう。

 ボールに手を合わせてプレッシャーをかけ、鏡のようにボールの移動に合わせて手も動かしましょう。ここで、作った薄い鏡をわらないように両手をボールに 合わせます。この鏡を割ると相手の空間に手を入れてしまうことになりますからファールになります。このディフェンスを
「ミラー・ザ・ボール」と言います。鏡を割らないようにどんどんプレッシャーをかけましょう!!

6.抜かれてしまった場合のヘルプ  抜かれてしまったら、そのままだと高確率な得点に結びついてしまいます。他のディフェンスの選手が、自分のマークマンを離してでも、ゴールを守らなければなりません。
 マイハウスの中に入られてしまうと、ヘルプに行ったとしても押し切られてしまう場合があるので、マイハウスの入口でヘルプできるように、準備しておきます。

 ボールを持っていない選手のディフェンスは
・ヘルプに間に合うこと
・クローズアウトに間に合うこと
・マークマンのフラッシュカットをチェックできること

の3つができる距離で守ります。

このポジションから、味方が抜かれてきたら素早くヘルプするように意識しましょう!

 ヘルプが起きたら、緊急事態です。一番ゴールに近い選手がゴール下を守り、残りの2人で3人のオフェンスをケアします。

 
ヘルプで相手のレイアップを止めて、相手にゴールから遠ざかるパスをさせたら目的達成です。そのパスに対して、ボールには飛び出しながらゾーンに守り、2つ目のパスでマンツーマンに戻るという守り方を紹介しました。こうすると、ゴール近くをスカスカにしてしまう失敗を防げるのでお勧めです。

7.ディナイの逆を突かれた場合のヘルプ  皆さんのチームはディナイをがんばるチームなので、もちろん、その逆を突かれるピンチも多くなります。

 ディナイの裏を突かれるバックカットに対しても、ドライブインと同じくヘルプディフェンスで対応しましょう。

 同じようにローテーションも行えますので、相手にゴール近くの高確率なシュートをさせないように注意しましょう。

8.インサイドの選手の守り方  相手にドライブインをさせなければ、ゴール近くでの高確率な得点が生まれるのはインサイドプレーです。インサイドの選手が強力なチームであれば、ここを重点的に守らなければなりません。

 まず、インサイドの選手に簡単にポジションを取らせないように、バンプでポジショニングを防ぐ練習を行いました。相手のセンターがハイポストやローポス トに行こうとしたら、その前にコースをチェックして、身体でコースを止め、相手がいきたいポジションへ行かせないようにしましょう。

 もしボールが入ってしまったら、皆さんのチームはそれほど大きいチームではないので、全員で協力してセンターを守らなければなりません。

 
センターの近くにいるディフェンスは、ボールに集まってきて、自由にターンなどをさせないように守りましょう。そして、ボールがセンターから外に出てきたら、そのボールに対してクローズアウトで対応するようにしましょう。

9.ヘッジディフェンス  最後に、ガードが縦に抜いてくる場合や、ウイングがフリースローライン側を抜いてくる場合の、ヘッジというヘルプディフェンスを紹介しました。

 このドライブインの場合は、自分のマークマンを視野に入れながらヘルプディフェンスをすることができます。ヘッジと言って、肩のラインを保ったままドライブのコースにヘルプに入ります。

 自分のマークマンを視野からはずしてヘルプしてしまうと、簡単に相手を見失い、合わせのパスを出されてしまうので、ヘッジでのヘルプディフェンスを是非使えるようになりましょう!

 指導の感想と次回へ向けてのコメント
 今回のクリニックでは、個人のディフェンスからチームディフェンスまで、幅広く紹介しました。ディフェンスは全体像が分かっていないと、部分部分でがんばっていても効果的に守ることが出来ません。出来ていない部分で得点されてしまうからです。

相手にやらせてはいけないプレーは、
 1.ゴール下のノーマーク
 2.ゴール下の1on1
 3.アウトサイドのノーマーク
 4.アウトサイドの競り合ったシュート

の順です。
 2と3は相手の能力に応じて逆転することはありますが、ここでいう4のプレーを増やしてもらうことが、確率の悪いオフェンスをさせるということです。

 
相手に簡単に抜かれないこと(イージーレイアップをさせないこと)、抜かれてもヘルプがいること、ヘルプをしても他の選手をチャンスにしないこと、インサイドで簡単に持たせないこと、これらを徹底して行えるように練習しましょう。
 それでは、また皆さんに会えるのを楽しみにしています!大会頑張ってくださいね!応援しています!